都心で飲んだ帰り、終電はとっくに終わっている。
傘がいるかいらないほどの小雨の中、
タクシーを拾おうと思うけど、
「割増」の緑の文字だけが目の前を行過ぎる。
一人の時に限って、タクシーはなかなかつかまらない。
これが二人だと、意外とあっけなくつかまったりするのに。
・・・なんてことを思い出した。
どれくらいさりげなくさっとタクシーを拾えるかが、
案外重要なポイントだったりする。
午前2時の、それもちょっと雨っていう都内を走るタクシー。
この曲、まさにそんな雰囲気なのだけれど、
タイトル以外には「タクシー」という言葉も、
2人が車の中にいるということさええも、
歌詞の中には出てこない。
なのに、
というタイトルはどういう理由か。
深夜にタクシーに乗るっていうのはつまり、
朝までは一緒にはいられないってことだろう。
東方神起ファンはけっこう大人が多いと思うので、
この曲のファンは多いのだろうと思う。
私も大好きな曲。
映画「東京タワー」を使ったFan Madeの動画も見たけど、
とてもファンの妄想をたくましくさせる1曲でもある。
彼らの4番目のアルバム「The Secret Code」では、
「呪文-Mirotic」のあとに入ってる。
あの強気な歌のあと、あまりのせつなさに、
その落差に思わず聞き入ってしまう。
まさに「イケナイ恋」そのものって感じの曲。
なにがどうイケナイのか、その辺は想像をたくましくさせられる。
「どうして君を好きになってしまったんだろう」のイケナサとは全然違うし。
チャンミンの高い声からゆっくりとはじまるこの曲は、
雨の降る深夜の都内を走るタクシーの中から外の景色が流れていく映像が、
ぴったりはまると思う。
スピードを出せないカーブの多い首都高か、
その首都高の下を走る、昼間はにぎやかな大通りか。
そういう夜にタクシーに乗ることがあって、
そういえばと思い出して、iPodからこの曲をさがしだし、
リアシートで聞きながら水滴のついた窓から外を眺めていた。
深夜とはいえ、まだ車の数は多くて、
対向車のヘッドライトと、一つのラインのように見える赤いテールランプが
やけにさみしげに感じられる。
幹線道路を抜けて住宅街にはいってもたくさんの街灯が細い道を照らす。
東京という街はいやに明るくて、本当に闇というものがない。
この曲のどこがいいって、
やっぱり「TAXI」というタイトルをつけたことだろう。