4 Chance

K-POPについて日々思うこと。曲やコンサートの感想。

ビジネス

リダが手にした移籍金をどうしたかと聞かれて、

「税金を払った」と言ったのを、

この本を見て思い出した。

ビートルズのビジネス戦略」(武田知弘著 祥伝社新書)

ビートルズの解散はジョンとポールの不和と

あちこちで言われてきたけれど、

実はそうじゃなくて税金の問題と言う切り口によるビジネス戦略書。

いわれてみればそうだ。

アイドルといえども、きちんと税金を支払わないと。

この書ではビートルズと言う20世紀最大のロックグループが、

いかに戦略的に作られたアイドルかと言うことを紹介している。

もちろん、20世紀どころか21世紀になっても人気の衰えない

楽曲のすばらしさ、それを作ってきたジョンとポールの才能は大前提としても。

4人を売り出すにあたって、

好感をもたれるような小ぎれいな格好をさせたこと、

「アルバム」という売り出し方を作ったこと、

ファンクラブを組織したこと、

いまではごくあたり前と思われることが

すべてビートルズからはじまっていると言うことが興味深い内容だった。

ビートルズのメンバー発掘すなわち「商品開発」、

どういう層をねらうかという「マーケティング」、

どうやって知名度をあげ注目してもらうかという「プロモーション」、

そして得た収益の配分、「財務政策」。

普通に事業をおこしていくなら当然とも思える手法を、

ビートルズにかかわった「やり手」たちが前例のないままに採用し実現していった。

グッズ販売をしたのもビートルズが最初らしい。

はじめは権利をもっていなかったので、

あらゆるグッズが勝手につくられ、かなりの利益をとりそこねたとか。

聞いた話だが、

スター関連の売り上げでも、

CDやコンサートよりグッズの売り上げというのは利幅も大きくて、

けっこうな収益になるという。

アイドル事務所が肖像権の管理に躍起になるのも、無理はない。

グループ内でもめごとがあってそれが露見しても、

目指す音楽の方向性とかスタイルとか、

そういった面でのメンバー同士の衝突というかある程度の意見の食い違いは、

アーティストなんだからしょうがないな、ということで、

熱いファンなら多少は大目に見てくれるだろう。

でも内輪もめの原因が「お金」と言うことになると、

なんだか現実を突きつけられるような気がして、

けっこうがっかりすると思う。

ファンは夢をみているんだから。

ビートルズの4人がどうやって利益を配分したかとか、

どれほどのお金がどこへ流れたのかとか、

手に入れすぎたお金でどういうことが起こったのかとか、

私はビジネス戦略としての話よりも、

例に挙げられている生々しい話のほうが興味深かったかな。

ビートルズというイギリスの若者のグループが、

あまり市場の整わないなかで急激に大きくなり、

好きな音楽だけをやってはいられない状況に陥っていったこと、

アメリカという最大市場への進出、

熱狂的なファンのおかげで、どこへいっても缶詰状態になってしまったこと、

そのときは軽く扱われていたけど著作権という、後々に禍根を残すことになった問題。

いまのアイドルたちがその延長線上にあると思うと、

それから50年がたってもあいかわらず同じようなことが起きていると思うこともある。

やはりアイドルたちをくいものにしようとする人が

いつの時代にもいるもんだということ。

それでもビートルズが後世に残ったのは名曲の数々のせいだが、

それらを作った背景までもが、私情やお金やいろんな事情に絡んでいて、

なるほど、みんなアイドルをつくってひと儲けしようとたくらむわけだ、と思わせる。

そういえば、リダは、

もうけたお金は資産管理のプロに任せている、とどっかで言っていた。

私たちがつぎ込んだお金がどうなってるかなんて、

別に知らなくてもよかったんだけど~。

ツアーよりずいぶん前に販売が発表になったツアー公式グッズをみて、

この本を見ると、ちょっと冷静になれる。