学生時代から英語はまったく苦手だったが、
それは関係代名詞と仮定法過去完了のせいだと今でも思う。
そんなしちめんどうくさい文法ぬきにしてもっと楽しく覚えることはできなかったのかと。
歌を覚えればいい、とよく言われた。
今毎日のようにK-POPを聴いているといくつかの単語は確実に覚えようとしなくても頭に入る。
なるほどこういうことだったのかと、当時のアドバイスを今さらながらに思い返す。
ただし・・・。
K-POPの歌詞になるような言葉は、日常会話では役に立たないから、
どうしたものか。
「愛してる」
「君だけを守る」
「ずっとそばにいるよ」
「会いたい」
「世界の果てまで一緒に行こう」
・・・ソウル観光には役に立たない。
お目当てのスターに会えたところで、こんなあからさまな言葉を、
やまとなでしこはめったに口にしないし、
「愛してる」なんて率直な言葉じゃなくて、
もっと繊細な気持ちを表現したいとなれば、
もうただ目をきらきらさせるしかないじゃないの。
「“愛”にはエロスとアガペの2種類があります。」
・・・とその昔、倫理学の先生は言っていた。
1年間彼はその違いを語り続けて、学年末試験には「エロスとアガペの違いを述べよ」と出た。
「男女間の欲望を表す“愛=エロス”と、親が子にささげる“無償の愛=アガペ”」
・・・とかなんとか真っ白な答案用紙にくだくだと書いたような気がする。
何を書いたか覚えてないが、さぞかしケイジジョウ学的な理解不能な文章だったろう。
ファンがスターにささげる愛はどっちだ?
ある時は限りなく妄想の対象であり、けっしてむくわれない・・・というか、
一方的にささげる愛とすればアガペに近いのか?
ま、そんな学問的なことはどうでもいいけど、
なんとなく「彼ら」が日本人が思うよりも簡単に発する「サランヘ」には、
「(君だけを)愛してる」より神が大衆に向ける広い愛に近いんでしょうね。
(そんなことわかってるって)
言葉の意味を理解するのはホントに難しい。
まして翻訳でどれほどの意味がまちがって伝わり、失われているのか。
ジョンミンは1年ちょっとの日本滞在ですっかり日本語がうまくなった。
日常会話どころか、仕事までちゃんとこなす。
それは語学的センスがなくて、かれこれ5年も韓国ドラマや歌に接していても、
一向に会話のレベルにならない私からすれば、とってもうらやましい才能だ。
そしてとってもありがたい。
彼の日本語から受け取ったものがどれだけ多いことか。
隣の国であって見た目にはまったく同じようでありながら、
まったく言葉が通じないという不便さ、もどかしさは、
いろいろな折に感じているけれど、彼みたいな人がでてくると、
「あ~、あっちに覚えてもらったほうが楽」なんて思ってしまって、
結局一向に進歩しない。
ジョンミンは日本語ができる、と言う以上によく理解している、と思う。
それは日本語で彼が歌うのを聴けばよくわかる。
意味をわかって歌ってるのと歌詞の言葉だけを追っているのと、こうも違うものか。
日本語は同じ意味の言葉をいろいろに表現することが多くて、
特に歌詞ではそういうのや、文法的には破綻してるのが多いから
細かいところまでその意味するところを理解するのは大変じゃないかと思う。
この曲は彼らの曲の中でも好きな曲だけど、
とても日本語っぽい歌詞だ。
ジョンミン独特の声で歌うのは、また心地よい。
「ただ、酔いながら」じゃなくて、ちゃんと「漂いながら」って聴こえる。
ジョンミン、お願いだから日本語を忘れないでね。
この曲、韓国でもカバーしたいって言ってたよね。
いつか、ね。