4 Chance

K-POPについて日々思うこと。曲やコンサートの感想。

ストーリー

最近デビュー15周年を迎えた「ゆず展」っていうのをやっていて、

彼らが横浜の路上ライブをやっていたころの様子も展示されているんだとか。

今では押しも押されぬビッグスターの彼らにもそういう下積み時代があるというのは、

この世界で成功するためにはごく普通の当り前のような話であって、

15年、20年と一線で活躍するにはやっぱりそれなりのストーリー、

ファンとともに歩んだ道っていうのが必要なんだろうなあと思う。

植物を育てるときに、最初は小さい鉢からはじめて、

成長に合わせてどんどん大きな鉢に植え替えていくように。

SS501のリダはともかく、

キム・ヒョンジュンには最初から大きな舞台が用意されていたわけで、

「僕はまだ新人なのに、武道館でコンサートができて」

と、昨日リダも言っていたように、

そのことの重さ、大きさはリダが一番わかっているのかもしれない。

東京フォーラムA、横浜アリーナさいたまスーパーアリーナ、武道館ときたら、

次はドームしか残ってないのかな。

リダ本人は「小さいところでファンのみなさんと一緒に」っていうことを言ってたし、

ファンもそれを望んでいるかもしれないけど、

実際問題チケットのことなんかを考えると、

入手困難になり争奪戦になることは目に見えてる。

この夏はマンネ、ヨンセン、ROMEO(ジョンミン)が

割合小さいハコでライブをやるのを見たけれど、

それはそれで、ファンとの近さとかライブの盛り上げ方とか見せ方とか、

いろんなものが1万人規模の会場とは違うと思うので、

一概にどっちがいいとは言えない。

ステージと客席が本当に近くて、後ろのほうまで熱気が伝わってきたし、

みんなで飛び上がってノリノリな曲では会場がひとつだという気分が味わえる。

マンネやヨンセンが今の時点で1万人規模のライブをやりたいと思っても、

無理だろうと思うのとはまた別の意味で、

1万人のチケットが売れるリダが、いまさら1,000人規模のライブを望んでも、

実現が難しそうだ。

年内の日本での活動はない、という告知の後に、

急に隙間を埋めるように決まった感じのイベントだったので、

リダにすれば、7月や花火のイベントと同じことをやっても、

見ているこっちにはまあそんなもんかなあと許される感じもあったのに、

昨日の武道館は初めて「踊らない」ライブであったし、

生バンドを従えて、セッションを聴かせる場であったし、

そういう意味ではいろんなことを「やってみる」場としては絶好だったのかも。

あるいは、リダがやってみたいと思うことをすんなりやれた場所というか。

「Creep」はその一つだったと思う。

SS501の最初のコンサート「STEP UP」で披露した「Creep」を歌ったことで、

SS501への回帰と思う人たちもいるかもしれないけど、

私はちょっと違うように思う。

リダ自身そもそも好きだったというああいう雰囲気の曲、

それを披露できる場所、キム・ヒョンジュンという少年が持っていた夢の方向への転換を

示唆してたんじゃないだろうか?

1階の中央の席、ステージの真正面には関係者、記者がずらっと座っていて、

その人たちはキム・ヒョンジュンのパフォーマンスを見るというよりは、

それで会場がどれくらい盛り上がるのか、客席が彼の何に反応するのかっていうことを、

じっと見ていたでしょうね。

それはこの先、キム・ヒョンジュンというタレントがどういう方向に行くのかっていうことを決めるのに、

重要な視線であったろうと思うのです。

だからリダにとっても、「こういうこともやりたい」と見せるには、

絶好の場だっただろうと。

見るほうにとっては、どういう曲やパフォーマンスがキム・ヒョンジュンのファンに受けるのか。

1回の公演で1万枚のチケットが売れてしまうとすれば、

やっぱりそれだけの観客を満足させるだけの派手なパフォーマンスも

大きな装置もたくさんのスタッフも必要だし、

なによりそこに至るまでのファンと一緒のストーリーが大事だと思う。

リダという人は、先にハコ(イメージ)が大きくなってしまったおかげで、

そこと自分自身の差を埋めるストーリーを作るのが後追いになっていて、

ちょっと遠くから見ていると、大変そうだなあと思うことがある。

昨日は9曲でしたか。

もう声を振り絞っていて、途中ちょっとバンドの迫力に負けそうではらはらした。

バラードの時は静まっていた1万人を一人で相手にするのが大変そうにも見えた。

まあ、武道館の音響は良くないので、ということを差し引いても、

1万人という観衆はやっぱりふつうのパワーでは対抗しきれないのかも。

ただ、キム・ヒョンジュンという男は、

とても良く水を吸う、そのためにたくさん汗もかくけど、

その名声のために周りに集まってきた良い人たち、優れた人たち(肥料)から、

どんどん栄養を吸収する力ももっていそうなので、

大きな鉢にしっかりとたくさんの根を張っていけばなあ、と思う。

それにライブの最中には予報外のゲリラ豪雨を呼んで、

やっぱり以前から私たちが知ってる「雨男」だと再確認もさせてくれるし、

ファンの帰り道には、それをすっかりやませてくれるというやさしさもあるしね。