見たい、見たいと思っていながら、
なかなか手がつかなかったジュンスのミュージカルDVD。
ようやく見ました。
2010年1月に「モーツァルト」の公演を終えた後の10月の公演。
ミュージカル曲とジュンスのソロ、次回作「エリザベート」のエッセンスを入れた舞台。
これだけの韓国ミュージカルが来ていて、
なぜこれが来ないんだろうと思うけれど、
有名なミュージカルスターが出演する人気ミュージカルなので、
日本のキャストと日本のスタッフでやれば十分ですし、
そこへあえて韓国版を持ってくる意味がないのかも。
ジュンスと周りを囲むプロのミュージカル俳優(俳優というのね、歌手ではなく)とは、
あきらかに発声とかの基礎訓練のレベルが違うことがわかるけれど、
ジュンスの独特の声と表現力っていうのが、
そういうクラシック的な基礎とか歌唱技術の高さとかを超越してて、
すごいなと思える。
「すごい」とか「うまい」とかそういう簡単な言葉ではなく、
こういうところが、どういう風にいいかということを言いたいのだけれど、
なかなか言葉が見つからない。
アイドルでは一番と言われるジュンスの歌が下手というのではなくて、
分野が違うとこうも違うかと思えるほど“毛色”が違うというか、
感動するポイントが違うんだということがわかる。
たぶん歌を歌うということのテクニック的な面でいろいろな点をつつけば、
いろいろあるのだろうけれど、
ひとたび舞台に立って、人をひきつけたり心に響かせたりする何かは、
そういうものを超えてしまうのかな、と思う。
おそらくこの「モーツァルト」というミュージカルのヴォルフガング役に、
彼自身の思いとかを昇華できたことが大きいかなと思う。
見ているほうも、当然のことながら、
音楽の才能にあふれながら、自由に音楽ができない、
いろいろなしがらみに縛られるモーツァルトに、
歌いたくても歌えない状況にあったジュンスを見ないわけには行かないし、
その相乗効果たるや、当時ナマでこのステージを見た人には、
家でごろ寝をしながらDVDを見るのとはかけはなれた感激があったと思うのだが。
そういえば・・・と思いだしたのだが、
この役はもともと歌手のチョ・ソンモがやるはずだったものだ。
2009年の11月に、私は(なりゆきで)チョ・ソンモのコンサートを見るためにソウルに行ったのだが、
直前に彼がバラエティ番組の収録中に負傷してコンサートは中止。
けがの程度が大きくて、
そのあとにキャスティングされていた「モーツァルト」からも降板したのだ。
どういう経緯でか、ジュンスがオーディションを受けて、
チョ・ソンモの代役に立つことになった、らしい。
初のミュージカルの舞台で、出会った役がモーツァルト。
これはジュンスにとっても幸運な出会いだったんじゃないかな。
まあ、運命ってきっとそういうものなのかも。
ジュンスは歌の才能だけじゃなくて、
そういう運をたぐり寄せる星も持っていたっていうことだろう。
このコンサートでは後半に次回作となる「エリザベート」から数曲を披露するのだが、
ジュンスの役は「死神のトート」。
いろいろな年齢の俳優が演じることのできる、超!難しそうな役。
メイキング映像では、死神だけど人間のエリザベートを愛するトートの人物像を説明されて、
きょとんとしているジュンスが出てくる。
その顔が、説明されている深刻な役柄とあまりにかけ離れているので、
本気で「エリザベート」を見たくなった。