4 Chance

K-POPについて日々思うこと。曲やコンサートの感想。

180cm

韓流とかK-POPにはまって以来、

私たちを惑わせているものの一つに「180cm」がある。

日本の芸能人のプロフィールではよほどのことがない限り取り上げられなかった、

「身長」「学歴」が、彼らのプロフィールには必ずあることが、

最初のころどれほどものめずらしかったことか。

テレビでちょっとかっこいい男の子を見るたびに、

この子は身長が何cmなんだろうと、まず気にしてしまう。

お気に入りの子が180cm以上あると、なんとなく誇らしい。

アイドルたちにとっても180cmは一つの関門であるらしく、身長疑惑は後を絶たない。

日本人の若い子たちの背が高く腰高になったとはいえ、

ふだんの生活で180cm級の男子に囲まれることはまれだし、

並んで写真に写るという栄誉でもなければ気にすることもない数字だ。

学校名に至っては、レベルも所在地もよくわからないがために、

日本人に対してそれをアピールするのは無意味な気がする。

ただそれをあえて書くことで、

「背が高いこと」と「ちゃんと学校へ行っていること」がスターとしての条件の一つであることはわかる。

演技力や歌唱力は文字では表現できない。

いつのまにか、見ているこっちにも「180cm=かっこいい」というのが浸透していた。

最近は「175cm? 小さいね」って思ってしまうことに時々驚く。

身近にいたら、175cmは決して小さくはない。

日本では「背が高い」よりも「かわいい」「親しみやすい」「面白い」のほうが、

人気のランキングでは上に来るのがふつうだ。

付き合う相手の条件として「三高」が叫ばれた時代もあったが、ブームとしては短かった。

そもそも180cmは、そばでみるととても「かわいい」とは言えない大きさだ。

家の中でゴロゴロされたら、とてつもなく邪魔な存在。

ところで、羽生結弦くんの身長は171cmなんだそうだ。

彼はサバを読む理由がまったくないので、公式プロフィール通りなんだろう。

表彰台に並んだところを見ると、パトリック・チャンもそんなに大きくない。

頭が小さくて手足が長くて、それだけでも日本人離れしてる体型だけれど、

堂々とした演技でよけいにかっこよく見える。

フィギュアスケート男子シングルに、185cmという選手が出場していたが、

当然手足は長いので演技は大きく見えるが、なんだか重そうで軽やかとは言い難かった。

背が伸びてトリプルアクセルが飛びづらくなった真央ちゃんを見れば、

飛んだり跳ねたり回転したりするスポーツ選手は、

大きすぎる体そのものが不利になりかねない。

体操の白井くんも161cmしかない。

「180cmだけどかわいい」というのがK-POPアイドルたちが日本にもたらした衝撃なのだ。

かわいい男の子は細くて小さい、というのが定番だった。

あの穏やかな顔つきのヨン様でさえ180cmある、ということが驚きだった。

芸能人はナマで見ると「思ったより小さい」というのが普通だったから。

もともと日本ではドラマなどのセットは、実物より小さ目に作るものだったらしい。

そのほうが費用も安いし、俳優たちも大きく見える。

180cm級のアイドルたちも、日本で活動しはじめて5,6年たって、当然その分年を取った。

20代は少年から青年、おじさんへの過渡期まっただ中だ。

体も頭もいい加減いい大人になって表情や物言いから「かわいげ」も抜け、

飛んだり跳ねたりしたあとで息切れする彼らを見るのは、

そこはかとなくもののあはれを感じる。

そういえば、日本でも少女マンガのヒーローは概して背が高い。

現実的ではないっていうことの証ではないだろうか。

小さな恋のものがたり」のかっこいい彼氏、村上聡の身長は185cmだそうだ。

マンガのサリーは、何十年経っても成績抜群、野球部のエースでアイドルのままだが、

今、目の前の180cmの王子たちが年を取っていくのは、

諸行無常の響きがある。

ただ、容姿が衰え、体型が変わっても、

180cmであることは、年齢がいってもそれほど変わらない。

なんでもよく見せようと変えてしまう世界で、

変えようにも変えられないものを美点としているっていうのも、面白いかなあと思う。