4 Chance

K-POPについて日々思うこと。曲やコンサートの感想。

鼓膜彼氏

バラードよりもダンス、ソロよりもグループ、

と言っていた私が、とうとうソン・シギョンさんのコンサートに行ってしまった。

一般でチケット取れたらとは思っていたが、、

パシフィコ2階の後ろはやだなあとか思っていて、

探してみたら3階席の最前列だったので、これはのんびり見られると思って。

(思うところが多い)

キュヒョンのコンサートにゲストできたときの声が素晴らしかったのと、

今年行ったOSTコンサートのトークが面白かったので、

一度は行ってみようかなとは思っていました。

バラードって日本語じゃないとけっこう退屈かもとか思っていたけれど、

シギョンさんの日本語能力の向上ぶりがすごかったのと。

去年?あたりから日本での活動に本腰を入れているシギョンさん。

韓国での人気とは裏腹に、思うように日本では受け入れられていないもどかしさを、

トークのコメントのそこここに感じる。

あと、最初の登場で、やせててびっくり。

かなりのダイエットに取り組んだようで、

だから抵抗力がなくて風邪ひいたんだなと思う。

トークは、キュヒョンと同様、風邪をひいてコンディションが十分でないことの言い訳から。

歌手は言い訳しちゃいけないって、キュヒョンのソロコンの時も書いたけれど、

どうやら万全でないことを最初に断るのは、韓国の習慣なのか。

アイドルグループはどんどん日本に進出しているのとは反対に、

バラード歌手はなかなか浸透しない日本の市場。

その一番の壁は、バラード曲で伝えたい歌詞の思いを日本語で伝えられないこと、

ということをちゃんと理解して、日本語の習得に本格的に取り組んだことは、ほんとにすごいよね~と思う。

まったくカンペのないトークを流暢にこなしてくれるので、

聞いているこちらはほんとにリラックスして見ていられる。

通訳が入ることのもどかしさは、こちらも向こうも同じなんだろう。

歌詞がわかることも、大きい。

ダンス曲はなんかノリでいけるところもあるが、内容がわからないのはなあ。

声と音楽が素晴らしくても、たぶん半分以上、楽しめない。

バラード歌手が日本に来ると、必ず日本語の曲をカバーする。

それがすごくうまければ、多少は受け入れられる。

でも、オリジナル曲が受け入れられるかというとそうではない。

私が思うに、オリジナル曲の日本語の歌詞が下手すぎる。

たまに、お?と思うものは、日本人の作詞家が書いていたりする。

韓国人歌手がこぞってカバーする日本の歌は、たいてい日本人なら誰でも知っている名曲ぞろいだ。

イントロを聴いただけで、一瞬でその世界に入っていけるような美しいメロディもあるけれど、

多くは、ものすごく印象的な歌詞。

出だしだったり、サビだったり。

そういう歌詞を書く人は、本当に皆、詩人なので、

素直な、学校で習う作文のような日本語を書いたりしない。

この世界をこうやって表現するんだ、と心から感心する。

そういう詩が、美しいメロディに乗って、たぐいまれな声で歌われたとき、

また新しい感動が生まれる、と思う。

それは日本人でも誰でも書けるというわけではない。才能が必要です。

日本で今、大ヒットが生まれない理由もそこにあると思う。

宇多田ヒカルが出たとき、その音楽性ということは高く評価されたけれど、

私は16歳の子が書いた歌詞に驚いた。天才だなと。

たぶんそういう日本語の曲をもらえたら、火がつくのではないか。

たとえが古すぎるけれど、テレサ・テンの曲とか、

外国人が歌ったって、関係なく日本人に愛される曲。

じゃあ、誰に作ってもらえばいいのかというところまではわからないけれど、

たとえば、桑田佳祐が、中村雅俊にあげた「恋人も濡れる街角」みたいな曲と、

シギョンさんが出会うことがあれば、と思う。

この曲はジョンフンがカバーしたことがあって、それは良かった。

「恋人も濡れる街角」 by John Hoon

余談だけど、ジョンフンがパシフィコのコンサートでこれを歌った時には、

「横浜じゃいま、」のところで歓声が上がったんですよ。

40歳にしては、歌の内容が若いなという気もした。

40歳であの声なら、もうちょい色気があってもいいような気もする。

声に切なさはあるけれど、

歌詞にはその辺が中途半端なので、惜しいと思う。

AORという80年代にはやったジャンルがあって、

今でも多くの曲が記憶に残っているけれど、そういう分野かなあ。

「粉雪」を歌っても、「歌唄いのバラッド」を歌っても、

とにかく、すごい、と思うくらい良いのだから、

あとは曲。

日本の歌番組が、こぞって出てくださいと言ってくるような、曲が必要だと思います。

これはキュヒョンにもイェソンにも言えることなんだけれど。

あと、ジェジュンを見たらわかるんだけど、

日本の力のある事務所に入るというのは大きい。

彼もまだ自分の曲をテレビで歌える機会は少ないけれど、

確実に、「うまい」という評判は広がっていると思う。

そう考えると、歌手の成功って、本人の力量以上に、

それを押し上げるまわりの力が大きいと思う。

シギョンさん、韓国では有名人気歌手であることを、

言葉の端々にちらつかせる。

マネージャーのコメントも、「韓国では10,000人、15,000人の会場でコンサートをやる人」とか。

そこからが、日本の発想と違う気がする。

日本は広いし、全国にある1000~2000人のホールツアーを半年くらいやれる人が人気者ですし。

歌がうまければうまいほど、大きな会場ではなく、

音響のいいホールで聞きたいと思うもの。

鼓膜彼氏と言われるほどの、耳をそばだてて聞きたいシギョンさんの歌は、

パシフィコクラスは、大きさとしては限界ではないか。

シギョンさんのコンサートで、一番驚いたのは、ソロコンなのに、3時間半もやったこと。

韓国ではコンサートが長いのは当たり前のようで、

K-POPアイドル達も最初はみんな長時間だった。

最近は、ちゃんと序盤、中盤、終盤ごとにコンセプトを決めて、

全体がストーリーになっているようにつくる日本式が増えてきたけれど、

長い、というのは最近では新鮮だった。

開始が7時だったので、終わって10時半というのは、ちょっと焦りましたが。

私が思うようないい曲が出たら、また行きたいかな~。

2階席でも3階席でもいいんで。

「Life is...」 by Sung Si Kyung

この曲は松井五郎さん作詞。